ひとくち短歌絵 21~30

30, 卓上に 眼球ふたつ 落としなお 虹のアーチを 街に描きたす


29, 真夜中に バイクを飛ばす 若者は ヒョウに追われる ガゼルのごとく


28, 黒冬と 呼ぶべき俺の 青春の 自画像はひた 凝視す自我を


27, 詩にひそむ 虚妄のあまた 藍の夜の 星に糾弾され 反故にする


26, 万巻の 書は敗れたり マシュマロが 舌にとけゆく までの時間に


25, 最小の 粒子を二分 する思惟の 刃がさいしょうの さいをとりさる


24, 人間の 絶えた海辺の 地層から 風に運ばれゆく 放射能


23, 漆黒の 闇に身体を 伸ばしつつ 旅する世界、 異界、冥界


22, おちばふる ようにこころに ふりやまぬ ことばはくらき やみをまいつつ

 

21, 夜のバスの窓を流れる ほうき星 死んだおまえと 向き合っていた

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