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70, おのが死を しらずただよう 魂は うすむらさきの 魚のすがたに

 

69, 言の葉の 鋭利な棘に 匿名を とおす理由の 一端をしる

 

68, くさかをり らせんのひかり きらめくを まみにうつしつ いけのほとりに

 

67, 一心に 草を食みつつ 太りゆく こいつが蝶に 変わるマジック

 

66, 午前二時 目覚めたぼくは 川底で ネオンテトラの 群れに出遭った

 

65, 精神は つねに他人の 家族ゆえ おはようをいう おやすみをいう

 

64, 道化師に 泪は似合わないのです 闇と光が 月に重なる

 

63, 亡きひとを 月天心に 思い出す 豆電球の 部屋の窓より

 

62, 森に身を ひそめ豪雨に 翅をぬらす 蝉の複眼 ことごとく闇

 

61, 何もかも スマホに移しおえ胸に ワイングラスの ごとき空洞