31~40

 40, とぼとぼと かたれとぼとぼ まよいつつ ゆきつもどりつ かたれとぼとぼ


39, 日本の 異郷かここは ひと気なき 路地に帰れと 無音の声す


38, もし桃が 熟していたら 思いきり ほおばるのだが こころが見えぬ


37, おのずから 灯るちからを 持たぬゆえ 月は鏡の さみしさを知る


36, 冬の蚊の 弱き羽音に 目を覚まし ひとつ命を 手のひらに消す

 

35, ラッシュ時に ダイヤを乱し 世を去った 人には触れず 遅延を詫びる

 

34, イブの夜は ケーキに灯す キャンドルの とどく世界を すべてと思う

 

33, チャンネルを 点けては消して ダダダダと 疑似殺人の 銃を乱射す

 

32, 死はとおい 異郷のゆうべ 淋しさの 極みにひらく 小さなとびら


31, ブラインドの 隙間から 凝視する黒豹の眼光 冬の外灯